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RESEARCH

研究業績詳細

論文(査読付き)
発表日:2026年6月15日

カルテル法制史における昭和50年代前半の展開:独占禁止法昭和52年改正と特定不況産業安定臨時措置法を中心に(2・完)

タイトル

瀬翔太郎「カルテル法制史における昭和50年代前半の展開:独占禁止法昭和52年改正と特定不況産業安定臨時措置法を中心に(2・完)」法学政治学論究149号(2026)45-85頁。

目次

一 はじめに
二 独禁法強化改正が求められた背景
 (一) 公取委の解釈・運用
 (二) 寡占的な市場構造
三 昭和52年改正の過程
 (一) 本格的議論の開始
 (二) 独占禁止法研究会における検討と政財界の意見
 (三) 公取委試案の発表とそれに対する議論
 (四) 三木内閣による独禁法改正の動き
 (五) 福田内閣による独禁法改正
 (六) 分析 (以上、148号)
四 不況対策の適用除外立法
 (一) 独禁法上の不況カルテルの解釈・運用
 (二) 特安法の制定過程
 (三) 適用除外カルテルの意義
五 むすびにかえて (以上、本号)

要旨

本論文は、一般的には、石油危機を経て高度経済成長を終えたわが国が、低成長時代へと向かう時期のカルテル法制を分析する。この時期は、独禁法の歴史のなかで、一般的にはカルテルに対して厳しい動きを見せたとされる。それは、独禁法制定以来、初めての強化改正が実現したと説明されるからである(昭和52年改正)。カルテルに対する課徴金制度が創設されたことが最も特徴的な出来事である。そのため、この点を捉えれば、カルテル法制が強化された、という評価ができる。しかし、既に昭和52年改正に関する先行研究が示しているように、この改正を全体的に見た場合、当初の議論よりも、大幅にその内容は緩やかなものになった。また、昭和53年には、当時の通商産業省が特定不況産業安定臨時措置法という不況対策の立法を行った。同法には、適用除外カルテル規定が設けられた。すなわち、昭和50年代前半という括りで見ると、カルテル法制が必ずしも厳格化されたとは言い得ない。そのため、本論文では、昭和52年改正を分析対象とするのではなく、昭和52年改正も含めた昭和50年代前半という時期を分析し、当時のカルテル法制が、独禁法の主目的である自由競争経済秩序との関係でどのように模索されていたのかを詳らかにする。

したがって、本論文が論じる内容は、カルテル禁止規定(不当な取引制限、事業者団体規制)及びカルテル禁止に関するエンフォースメントに加えて、特定不況産業安定臨時措置法を中心とする適用除外カルテル規定も含むことになる。こうした本論文の一連の検討は、当時の状況を客観的に記述することを試みるものであり、これをもって、現代において、カルテルの許容を広げるべきである、ということを示唆、主張するものではない。

第二章では、昭和50年代前半に至るまでのカルテル法制の状況について概観する。第三章では、昭和52年改正の改正過程を論じる。改正議論では、カルテル禁止規定を改正すべきという意見や、課徴金制度を含めたカルテルのエンフォースメントに関する詳細な検討が行われたため、これらを中心に論じる。第四章では、独占禁止法と不況対策の歴史について概観した後、特安法が必要とされた当時の状況、立法過程を論じ、当時の適用除外カルテルの位置付けについて検討する。以上の検討から、昭和50年代前半は、カルテルへの問題意識は高まったとはいえ、適用除外カルテルが独禁法上に存置され、個別法も縮小・廃止されておらず、依然としてカルテルに対する違法性の認識が限定的であったことを示す。

Title

Developments in Japanese Cartel Legislation in the Late 1970s: Concentrating on the 1977 Antimonopoly Law Amendments and the Law on Temporary Measures for Stabilizing Specific Depressed Industries (2.End), 149 Hogaku Seijigaku Ronkyu 45 (2026) (in Japanese).

詳細情報

掲載誌 法学政治学論究 149
発表年 2026
ページ数 45-85